パフォーミングアートまでを含むすべてのメディアを提供する施設を、市民参加型で企画運営することを基本コンセプトとしており、運営上は図書資料を扱う市立図書館と、それ以外のメディアを提供するメディアテークとが独立に活動する複合建築の形式を採っている。
チューブ状の特殊な柱に支えられた一体の空間の中に、多様な場を設けることができる。
「プププメモ」
伊東豊雄の代表作となっているこの建築は、6枚の床(プレート)と、揺れる海草のような形状の13本のチューブと呼ばれる鉄骨独立シャフトのみの単純な構造によって、地下2階、地上7階の空間のすべてが作られている。
これは、「柱」によって建てられる旧来の日本家屋と建築思想が同じであるが、梁はなく、造船技術を用いて気仙沼の職人が床や天井を造った。また、全面がガラス張りであり、支柱のスケルトン構造が外から直接見ることができ、一方、中からもケヤキ並木の定禅寺通りを見渡せ、中と外との一体感がある。
このような構造とデザインの優秀さのため、建築関係者をはじめとして世界各国からカメラ片手に訪れる人が多い。
現代のビルディングの構造は、その多くがラーメン構造という柱・梁からなる構造形式によって構成されている。
それは、前世紀の初頭にミース・ファン・デル・ローエによって提示された「ユニヴァーサル・スペース」、すなわち均質な柱と梁の構造体からなる建物内にあらゆる機能を内包することができるという概念と、ル・コルビュジエによって提示された「ドミノシステム」、すなわち柱と床、上下の階にアクセスするための階段という建築にとって必要最低限の構成要素にまで構造形式を還元する概念との延長上にある構造形式である。
伊東豊雄は、こうしたラーメン構造の建築の均質性を打破する新しい建築のあり方を提示した。
通常のラーメン構造ではできるだけ等間隔に建てられる四角い柱を、スパイラルを描くたくさんの細い鉄柱に分解することで「すけすけの柱の内部」(チューブ)を作り出し、それらをできるだけ不規則に配置することで不均質な場としての内部空間を計画した。
このチューブは床を貫通し、設備系統、エレベーターや階段、屋上からの採光や通風など、その内部が見える縦方向のコアとして機能している。
明らかにこれは「近代建築」、「ル・コルビュジェ」、※「ドミノシステム」を乗り越える試みであり、「柱の概念を解体する」挑戦とも受け取れる。世界の第一線級の建築家は、近代建築に対する批判的思考を経て新しい建築形式を生み出そうと試みているが、smtで実現した新しい建築のスタイルは、そうした伊東自身の発想もさることながらコンピュータにより複雑な立体物の構造計算が可能になった現代だからこそ生まれた形でもあった。伊東はこの作品以後、冒険的な構造の建築を積極的に試みるようになった。
※ドミノシステム
今日はここまでー!
【関連する記事】